巡礼
治療は5日間にわたる聖なる山「タシタル・アタ」への登頂でしめくくられる。患者は、250キロのつらい道を決意した気持ちを鼓舞しながら、そして、みずからの精神力を意識しながら「魂の石碑」を抱えて歩みを続ける。道中を共にするのは、どうしても必要な時は手を貸してくれることになっているインストラクターと心理療法専門医である。ここで人間は一人、自分の心と差向う。そうやって、どう生きてきたか、もう一度自分の過去を振り返り、罪の意識から解放され、自分に対する不信感をぬぐい、破壊的な幻の世界から脱け出そうとするのだ。救いの山の頂に登り「魂の石碑」を丘に残して、過去の重荷から自由になって、初めて自分が自由な人間であることを実感できる。こうしてたどりつくのが、魂を癒す道のりだ。