グレープを喜ばせた出来事

19.10.2012, 12:38

ドクター・ライフの参加者で最年少のグレープ・アントーノフは、もう一か月も車のハンドルを握っていない。プロのレーサーになることを夢見ている人間にとって、鋼鉄製の愛馬に乗れないまま過ごすのは、何とも耐え難いものだ。

「毎日なんかに乗ってドライブしなきゃ、たまらないんだ」とグレープは言う。

 だから、グレープにとっては、キルギスでレーサーに偶然出会うことが最高の喜びなのだ。グレープは、ビシケクのカー・クラブのガレージでようやく好きなテーマで話をする機会を得た。メンバーは、グレープに自慢の車を見せてキルギスのカー・スポーツについて話してくれたし、グレープが運転する競技の様子が写ったビデオも見てくれた。ティムール・グバーエフもドリフティングに前から興味があって、知り合いになれたことを喜んでいた。

「あの走りっぷりを見たあと、しばらくショックだったね。ビデオからすると、彼は相当なレベルだ。車の仕上がりも上々だし、値もはるやつだ」と彼。

みんな、車のことなら何時間でも話はつきないカーマニアたちだが、やはり実際に運転することが最高なのだ。で、若者たちは、話もそこそこに、実際に乗ってみようと言うことになった。場所も文句はない。すぐにトクマクにある飛行場跡の広っぱで乗ってみようということになった。まずはキルギス側が試運転したが、その後、そんなのは目じゃないところをグレープが見せつけた。

「見事な走りを見せてもらったよ。オレたちにはできないね。コースがないし、金もない。向こうじゃきっと、この種の競技がここよりずっと盛んなんだろうな」、そう言ったのは、目の肥えた見物客の一人だ。

その通り、グレープは猛スピードで快走した。急カーブも巧みにこなし、見ほれるほどの走りだった。飛行場の古いアスファルトはあっという間に一面タイヤの跡だらけ、スポーツタイプのニッサン車はタイヤが丸裸になってしまった。

「アドレナリンがどっと出たよ。あんたら、すごいやつらだ!ドリフトがこんなにワクワクするもんだなんて知らなかった。だけど、本格的なコースがなきゃだめだね。古い飛行場なんかじゃなくて」とグレープ。

プロジェクト参加者たちもグレープを応援にやってきていた。そして偶然、コースには車が8台、ちょうドキュメント参加者の頭数だけ揃っていたのだ。そこで、全員が風を切って走ることにした。

 それでおしまいになったわけではない。そのあと、自動車見物しようとやってきた地元の少年たちが乗ってきた馬に乗せてもらったり、迷い込んできた驢馬にまでまたがったりしたのだ。

 要するに、みんな心行くまで楽しむことができたわけだ。グレープは、自分のために行われたこの催しのおかげで、自分の体内からアドレナリンが湧くのを感じた。おそらく、この日、彼も他の参加者たちもよく分かったことだろう。何も特別な刺激がなくても、ただこんなふうに人生で満足感を得たりや喜びを感じることができるのだと。

 

 

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コメント

  • Yu   23.10.2012, 14:23
    いっぱい写真が入っているね!この男はさすがにプロの自動車レーサーだね、ドリフティングも得意ね。we-he-he-he=) LOL ロバに乗ってもドリフティングをしたのか?面白そうね)))

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