「ブロック(遮断)療法」を前にして

14.09.2012, 09:09

 プロジェクトの主人公たちはもうどんどん新しい生活に馴染んできている。全員あわせてもさほどの大人数ではないのに、すでにうまくグループ分けされている。つまり、年長者と若者の二つのグループだ。

 太平洋岸地方からやってきたグレープは、参加者の母親や奥さんたちの注目の的だ。彼は、撮影班にも人気で、親しみを込めた「ジョニー・デップ」というニックネームを頂戴した。

 この青年は、周囲から注目を浴びることに慣れっこになっているのが、よく分かる。そんなところから、みな、かんたんに引っかかってしまう。たとえば、アルコールや麻薬で酩酊しているふりをするのがうまい。自分の一挙一動をカメラで監視されていることが分かっているのに、わざとやるのだ。ちなみに、プロジェクトでは、害になる物質を摂取するのは、それが何であろうと禁止されていて処罰の対象となる。

 昼食後、テーブルを囲んで話し合いをした。もうすぐ行われるという「ブロック」という名の治療について参加者は盛り上がった。話し合いの最中、カリーニングラードから来た患者が発言した。意外だった。昨日まで、おどおどしていて遠慮がちだったアレックスが、いまや、話しだしたら止まらない勢いなのだ。彼は、率直に自分のここでの印象、恐怖感、そして希望について語った。

 イタリア人とアンドレ・クロシャノフは、あたかも互いに昔からの親友のように、長いこと話し合っていた。ここで感じたこと、思い出、日常よくあるもめ事などだ。

 また、クロシャノフ一家は、手を下ろしている暇がないほど発言した。アンドレイの妻のオリガさんは、夫から一歩も離れようとしない。夫を後押しして痛みと闘えるようしっかり支えている。

 マガダンから来た母親二人、アナトーリーの母のリュドミラさんとカーチャの母のガリーナさんは賢くふるまっている。互いの敵対心をわきに置いたのだ。共通の不幸が二人を結びつけている。それが子供たちにも伝わっている。カーチャは前より笑顔を見せるようになり、母親とともに過ごす時間も増えた。まさか、プロジェクトの前までは、母娘が不仲だったとは、信じられないくらいだ。

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