両親に言われるまま、医科大学に入学した。医者になって何度も人を助けてきた。もちろん人命も。ところが、ペレストロイカ…。ビジネスを始めようと、外科医を辞めた。しかし、ムラットは、大学の臨床学部で机を並べて学んだナザラリエフ教授に、ぜひともと誘われて、本来の専門に戻って教授の診療所で一緒に働くことにした。
現在は、物理的解毒療法で患者の新陳代謝を回復させる仕事をしている。麻薬製剤の使用と医薬品による治療が患者の身体機能を低下させてしまうのだ。
患者の心理状態にも心を配っていて、楽観的な考え方ができるように励ましている。
たとえば、寓話や小話を聞いてもらったり。彼の好きなひとつに「労働はあらゆる病気と苦難を忘れさせる良薬だ、病気や苦難で落胆している暇などなくなってしまうだから」という箴言がある。
想像してみるのも愉快だ。偉人たちの中で、例えば孔子やジグムント・フロイトと人生論をたたかわせたりするのは、どうだろう。